宇宙に5km幅の鏡、パイロット失明リスクも承認される
「いつでも好きなときに太陽の光を」——そんな夢のような計画が、ついに動き出そうとしている。ただし、その代償は思ったより大きいかもしれない。
アメリカのスタートアップ企業「Reflect Orbital」が提案するのは、宇宙に巨大な鏡を浮かべて地上に太陽光を反射する「サンライト・オン・デマンド」システム。なんと照らす範囲は直径約5キロメートル。太陽光発電所の効率アップや農業、夜間の捜索救助活動に革命を起こすと期待されている。
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro この計画、先日アメリカ連邦通信委員会(FCC)から試験衛星「Earendil-1」の打ち上げ承認を得た。だが、その前評判は決して芳しくない。
アメリカ天文学会(AAS)は声明で「敏感な研究用望遠鏡への損傷、パイロットやドライバーの閃光失明、そして中程度の望遠鏡を覗いた人の永久視力障害のリスクがある」と厳しく警告。会社自身もFCCへの提出書類で「永久眼損傷の可能性」を認めているというから笑えない。
にもかかわらずFCCは「電波と衛星周波数以外の安全問題は管轄外」として承認。規制の抜け穴を突いた形だ。
しかも、これは序の口。Reflect Orbitalは2035年までになんと5万基もの軌道上ミラーを打ち上げる構想を描いている。すでにSpaceXやBlue Originが提案する数百万基の商業衛星に加えて、光害の“宇宙大混雑”は避けられそうにない。
国際的にも問題視されている。国連宇宙局(UNOOSA)は「1967年の宇宙条約は自由な探査を認めるが、無法地帯ではない」と釘を刺す。ある代表者は「反射物を軌道に置くことを禁止する条項はない。しかし規制されていないわけではない。影響を受けると考える国は異議を唱える権利がある」とコメント。
マギル大学の宇宙法専門家ラム・ジャクフ名誉教授は「5年、10年以内に政府が動き出すだろう。今はただの議論だが、近い将来深刻な関心事になる。ただし天文学者は地政学の主要プレイヤーではない」と現実的な見方を示す。
天文学者たちが指摘するのは、直接的な被害以上に、反射光が大気中で散乱して夜空全体を明るくし、深宇宙観測に必要な暗闇を奪うこと。光害は思っている以上に広範囲に及ぶ。
一方、Reflect Orbitalの広報担当者は「責任ある規模での展開には明確なルールが必要だと認識している。私たちは監視を歓迎し、政府や科学者、規制当局と協力して形作りたい。彼らより先を行くのではなく、共に進む責任がある」とコメント。
「まあ最初は協力的な顔してるよね」とツッコミたくなるのは筆者だけだろうか。
はたして、人類は太陽を“予約制”で使い始めるのか、それとも夜空の灯りを永遠に失うのか。夢の技術がもたらす副作用は、想像以上に大きいかもしれない。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 
今、あなたにオススメ