黒いタール状の癌が魚から魚へ…第4の感染性癌が発見、3万8000頭を殺した悪魔の病との共通点
またしても、自然界に新たな“感染する癌”が出現した。米バーモント大学の研究チームが、米加国境のメンフレマゴグ湖で捕れたブラウンブルヘッド・ナマズの体に、黒くてタールのようなメラノーマ(皮膚癌)を発見。なんとこれ、魚から魚へと感染する癌だったのだ。
これまで記録されている「感染性癌」はわずか3種類だけだったが、今回のナマズの症例で4例目に。学術誌『Nature』に掲載されたこの衝撃の報告は、魚類で感染性癌が確認された世界初のケースでもある。通常の癌は宿主と共に死ぬが、この恐ろしい変異細胞株は、まるで寄生者のように独立して増殖し続けるのだ。
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro 最初に気づいたのは地元の釣り人たち。変形した魚の体にタール状のできものがあると通報があり、遺伝子解析した結果、悪夢が現実だと判明した。病変は癌細胞そのものが水中を漂い、別のナマツがエラで濾過するだけで感染するという。
「この手の癌は、我々が考えているよりずっとありふれているかもしれない」と警告するのは、進化遺伝学者のアンドリュー・ストーファー教授。実際、感染性癌が確認された事例は今回を含めて少なくとも13件にのぼる。
最も衝撃的な例が、タスマニアデビルを襲う「デビル顔面腫瘍病(DFTD)」だ。1996年に最初の株(DFT1)が出現。メスのデビルが発端となり、タスマニア島の90%に広がり、推定3万8000頭もの野生個体を死滅させた。ほぼ100%の致死率で、生息数の80〜90%が激減。同種は絶滅危惧種に指定される事態となった。さらに2014年には、まったく別のオス由来の第2株(DFT2)も発見され、タスマニアデビルは地球上で唯一、2種類の感染性癌を生み出した種となってしまった。
海洋では、アサリやムール貝など二枚貝が白血病のような血液癌に感染。悪性細胞が体液を満たし、臓器不全で死に至る。癌細胞は海水中を漂い、貝が餌を濾過するだけで感染。さらに研究者は、この癌が少なくとも10回以上変異し、中には別種に飛び移ったり、貨物船に乗って大洋を渡った株まであると確認している。
最古の感染性癌は犬の性器にできるCTVT。なんと今から1万1000年前、アジアに生息していた1頭のハスキー系の犬に由来し、その宿主はとっくに死んでいるが、癌細胞だけは犬から犬へと飛び移り続けて現在に至る。500年前には欧州の貿易船に乗って世界中に拡散。感染した犬のミトコンドリアを“盗んで”生き延びているというから驚きだ。
「人間に感染する証拠はまったくありません」と語るのは、サルフォード大学のガレス・ナイ博士。「これらの癌は非常に種特異的で、人間の免疫系は異物細胞を破壊するようできている。ただし、明らかな病変や腫瘍がある魚は食べないほうがいい」。むしろ、癌の研究にとっては「新たな治療法の開発につながる可能性がある」と、逆に期待も寄せている。
感染する癌は、もはや自然界の“レアケース”ではない。科学者たちは、次の標的はどの種なのか、警戒を緩められないでいる。
夜間運転用メガネが今ドライバーに急増中ナイトライダー 
今、あなたにオススメ