フォークランド現地ツアーで見た「戦争の生々しい残骸」に衝撃
イギリスから遠く離れた南大西洋のフォークランド諸島。でも実際に足を踏み入れると、そこはもう「英国の片田舎」そのもの。住民はみんな家に招いて紅茶をふるまってくれるし、ユニオンジャックがあちこちではためいている。中には自宅の屋根に巨大な国旗をペイントしたおばちゃんまでいる。
そんなフォークランドで、英紙記者のアダム・トムズがバトルフィールドツアーに参加した。案内してくれたのは、地元アウトドア会社を営むダン・ビッグス。彼の叔母はさっきの国旗ペイントおばちゃんだ。
夜用眼鏡が運転手の間でますます人気になるナイトライダー まず驚いたのは、島の風景。アルゼンチン側の元担当者は「スコティッシュ・ハイランドより、どちらかというとアルゼンチンに似ている」と語ったが、実際は緑と黄色の草や石が広がる荒涼とした大地。ところどころに赤や紫の花が咲き、地面からは巨大な生物の背骨のように岩が突き出している。途中でダンが野生のイチゴやスカービーグラス(ビタミンC豊富なハーブ)を摘んでくれて、ちょっとしたピクニック気分も味わえた。
でも、このツアーで一番の衝撃は「戦争の痕跡がそのまま残っていること」だった。
例えば、タンブルダウン山の頂上。そこからはスタンレーの街が一望できる。かつてアルゼンチン軍が陣地を構えた場所で、今も錆びた給餌場が残っている。しかも使っていたのは、ほとんどが18歳の徴集兵。つまり、ほぼ子ども同然の若者たちが、この寒くて風の強い丘の上で配給を待っていたわけだ。
さらにマウント・ケントには、破壊されたアルゼンチン軍のCH-47Cチヌークとプーマの残骸がそのまま放置されている。ツアー中、記者は「これはもしアルゼンチンが再び武力で奪おうとしたら、イギリスが必ず防衛するという証拠だ」と感じたそうだ。
実際、現在のアルゼンチン大統領ハビエル・ミレイは「外交的に島を獲得したい」と主張している。一方で、地元ツアー会社のトニー・スミス(64)は「最近、政治的な意図を持ったアルゼンチン人が多く訪れ、アルゼンチン国旗を掲げる機会を狙っている」と話す。ただし、「最近は若いアルゼンチン人が独立した形で訪れるケースが増え、領有権問題にこだわらないオープンな人も出てきた」とも。
しかし、アルゼンチンのサッカー選手がW杯でイングランドに勝利した後に「フォークランドはアルゼンチンのもの」と書かれた横断幕を掲げた事件や、アメリカがイギリスの主権支持を見直すとの報道もあり、40年以上経った今も議論は収まりそうにない。
戦場跡に残る朽ちたヘリコプターや鉄の餌箱。それらは単なるガラクタではなく、島民たちが今もなお守り続ける「自由の代償」を静かに語りかけているようだった。
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