イタリアが消える?出生数40%減、年間30万人消滅の衝撃
「イタリア人が消えていく」——そんなパニックが現実になりつつある。
イタリア国家統計局(ISTAT)の公式データによると、同国の人口は現在5900万人を少し切る水準だが、縮小スピードがヤバい。昨年の出生数は35万5000人で、2008年比なんと40%減の過去最低。一方で死亡数は65万2000人に上り、差し引き約30万人もの国民が1年で消えた計算になる。これは毎年、ヴェローナ市の全人口がゴッソリ消えているのと同じだ。
さらに合計特殊出生率は1.14まで低下。人口維持に必要な2.1を大きく下回り、中央値年齢は49歳を超えた。この結果、イタリアはEUで最も高齢化が進んだ国の座を獲得してしまった。
メローニ首相率いる政権は「デモグラフィック・ウィンター(人口学的寒冬)」を国家非常事態と宣言。1000ユーロ(約8万5500円)の「ベビーボーナス」や減税パッケージを打ち出して若いカップルに子どもを作ってもらおうと躍起だが、金銭的インセンティブだけでは流れを変えられていない。
田舎の小学校は児童不足で閉鎖が相次ぎ、働き手は減り、道路の穴を埋める若い労働者もいない。医療費や年金を支える納税者もどんどん減る——超高齢化社会の「あるある」がすでに現実化している。
「でも、私たちが上から目線で見てる場合じゃないよ」と警告するのは、旅行作家のショーン・トーマス氏。イタリアはかつて1980年代、経済がイギリスを追い抜いて「イル・ソルパッソ(追い抜き)」と大はしゃぎしたものだが、今では誰もそんな話はしない。トーマス氏は「高齢化、生産性の停滞、基本的なことすら直せない国家。子どもを作れず、中国とも競争できない西欧諸国の未来がイタリアだ」と指摘する。
実際、イギリスも少子化と公共サービスへの負担増に悩んでおり、「他人事じゃない」と専門家は口をそろえる。
少子化だけじゃない。イタリアはもう一つの問題も抱えている。地中海式ダイエットの本場として知られてきたが、今や伝統的な食生活はほぼ消滅した。南カリフォルニア大学長寿研究所所長のヴァルター・ロンゴ博士によると、「本当に地中海式ダイエットを守っているイタリア人はたった10%」だという。
代わりに広がっているのが「5つのP」——ピザ、パスタ、ポテト、プロテイン、パン(パーネ)。スーパーには超加工食品が並び、ピッツェリアではフライドポテトやソーセージを山盛りに乗せたピザが売られている。
その結果、イタリアの子どもや10代の肥満が急増。とくにカンパニア州では8〜9歳の40%以上が太りすぎで、ナポリ郊外のポンティチェッリは「世界の子どもの肥満首都」という不名誉な異名をとっている。ナポリ・フェデリコ二世大学の小児科医ロベルト・ベルニ・カナニ博士は「2〜3歳で体重が25キロもある子どもを診たことがある」と衝撃の証言。
「イタリア人は減るのに、子どもの体重は増える」という皮肉な現実。この国の未来はどうなってしまうのか。

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